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日本発のAIスタートアップ「Sakana AI」とは?ChatGPTとの違いや「Sakana Fugu」の料金まで整理

日増しに情報がアップデートされていく生成AIの世界。次から次へと新しい話が出てきて、追うだけでも一苦労です。

そんな中、最近ニュースなどで「Sakana AI(サカナAI)」という名前をよく見かけます。日本発のAIスタートアップだそうですが、「そもそも何者なのか?」「ChatGPTと何が違うの?」と、個人的にも少し気になっていました。

そこで今回は、この会社がどういうアプローチをとっているのか、また先日(2026年6月22日)発表されたばかりの新システム「Sakana Fugu(フグ)」の仕組みや料金体系について、自分なりに調べてみた内容をメモとしてまとめておきます。

1. そもそも「Sakana AI」って何者? (設立メンバーと基本情報)

Sakana AIは、2023年7月に設立された東京発のAIスタートアップです。オフィスは虎ノ門ヒルズにあります。

設立から約1年で企業価値が10億ドル(約1500億円)を超え、国内最速でユニコーン企業の仲間入りを果たしたことで話題になりました。NVIDIAや、国内のメガバンク、NTTやKDDIといった大企業がこぞって出資している点からも、業界内での関心の高さがうかがえます。

この企業が注目を集める背景には、創業メンバーの経歴もあります。

  • デビッド・ハ (David Ha) 氏 (CEO):元Google Brainの東京チームリーダー。AIを進化させるアルゴリズムや集団知の研究を行ってきた人物です。
  • ライオン・ジョーンズ (Llion Jones) 氏 (CTO):現在の生成AIの基礎を作ったとされる論文「Attention Is All You Need」(Transformerの提案)の共同著者8人のうちの1人です。
  • 伊藤 錬 (Ren Ito) 氏 (会長):外務省出身で、メルカリの執行役員などを務めたビジネス・外交の専門家です。

AI研究の第一線にいた研究者たちが、なぜかアメリカではなく「東京」に集まって立ち上げた会社、というのが大きな特徴です。

2. ChatGPTなどとは何が違う? (アプローチの違い)

ChatGPT(OpenAI)やClaude(Anthropic)、Gemini(Google)といった先行のAIサービスと、Sakana AIとでは何が違うのでしょうか。一番のポイントは、目指している「開発のアプローチ」です。

一言で言えば、「単体で何でもできる巨大なAIを作るか」それとも「小さなAIをたくさん繋いで知恵を出し合うか」という方向性の違いです。

主流の大手AI:巨大化によるアプローチ(スケーリングロー)

OpenAIなどは、巨大なモデルに天文学的なデータと計算資源(スーパーコンピュータ)を投入し、何でもハイレベルにこなす万能AIを目指しています。「規模を大きくすればするほど賢くなる」という法則に基づいたアプローチですが、これには膨大な電力消費や巨額のインフラ費用がかかり続けるという課題が指摘されています。

Sakana AI:小さな知性の連携(集団的知性)

これに対してSakana AIは、国語の教科書などでもおなじみの絵本『スイミー』のように、1つずつのAI(個体)は軽量でシンプルでも、それらをたくさん連携させることで高度なタスクをクリアする「集団的知性」というコンセプトを掲げています。

これを実現するための技術として、異なる強みを持つ複数の軽量AIモデルを自動的に掛け合わせ、新たな能力を持つモデルを生み出す「進化的モデルマージ」などを研究しています。巨大なモデルをゼロから学習させる必要がないため、開発コストや消費電力を抑えやすいというアプローチのようです。

3. 新システム「Sakana Fugu(フグ)」の仕組み

この「複数のAIを連携させる」というコンセプトを実際のサービスに落とし込んだのが、2026年6月22日にリリースされたシステム「Sakana Fugu(サカナ・フグ)」です。

Fuguは1つの大きなAIモデルではなく、裏側で複数の専門AIが控えている「マルチエージェント・オーケストレーション・システム」という位置づけです。ユーザーから見れば、通常のAIと同じように1つのAPIにアクセスするだけで、裏で自動的に処理が行われる形になっています。

裏側の司令塔:Conductor(指揮者)
ユーザーが質問や指示を入力すると、まず「Conductor(指揮者)」と呼ばれる仲介AIがその意図を読み取ります。そして、「この計算はあのモデルに」「文章の要約はあっちのモデルに」といった具合に、裏で控える専門AI(エージェント)に自律的に割り振り、結果をまとめて返してくれます。

Fuguには、用途に合わせて2つのバージョンが用意されています。

  • Fugu:スピードと実用性のバランスを重視。日常的なビジネスチャットや要約、簡単なコード生成などに向いています。
  • Fugu Ultra:複雑で何段階もの思考が必要なタスク向け。専門的な研究分析やプログラムの監査、セキュリティ調査といった深い推論に特化しています。

4. 気になる料金体系について

一般提供の開始に伴い、Sakana Fuguでは月額サブスクリプションとAPI(従量課金)の2つのプランが公開されています(※ドル建て表記)。

① 月額サブスクリプションプラン

日々のチャット利用など、定額で利用したいユーザー向けのプランです。

プラン名 月額料金 特徴
Standard $20 / 月 一般的なチャットワークに適した基本枠。FuguとFugu Ultraの双方が利用可能です。
Pro $100 / 月 Standardの10倍の利用枠。業務で頻繁に活用するプロフェッショナル向け。
Max $200 / 月 Standardの20倍の利用枠。開発や複雑な分析作業を大量に回すヘビーユーザー向け。

② 従量課金プラン(API)

自社システムへの組み込みなどを想定したプランです。上位の「Fugu Ultra API」の料金は以下の通りです。

トークン種別 通常料金 (272Kトークン以下) 大規模コンテキスト (272Kトークン超)
入力 (Input) $5.00 / 100万トークン $10.00 / 100万トークン
出力 (Output) $30.00 / 100万トークン $45.00 / 100万トークン
キャッシュ入力 (Cached Input) $0.50 / 100万トークン $1.00 / 100万トークン

このFugu APIの料金プランでは、「パススルー課金」という設計が採用されています。裏で複数の専門AIが作業を分担しても、各AIに対して個別に料金が加算されることはありません。「処理に携わったAIの中で、最も上位のモデルの基本レート」だけが適用される仕組みです。エージェントが複数動くシステムでありながら、コスト計算がブラックボックス化せず、予測を立てやすい設計になっています。

5. まとめとこれからのAI

ひたすら計算パワーとデータ量をぶつけ合う、アメリカ勢主導のAI開発競争。その巨大化路線に対し、今回のSakana AIが提示する「軽量なAIを繋ぐ」というアプローチは、今後の技術の方向性としてひとつの興味深い選択肢になりそうです。

これからは、「1つの賢いAIにすべてを頼る」のではなく、「得意分野を持った複数のAIをいかに上手く組み合わせるか」という連携の手法がさらに注目されるかもしれません。

これは、私たちの実社会における組織運営やチーム作りにも通じるところがありますよね。一人の万能なスーパースターを探すよりも、各メンバーの強みを生かし、組み合わせて成果を出す。そうしたチームプレイの重要性を、改めてAIの仕組みから考えさせられる調査結果でした。

※この記事で例えに出した絵本『スイミー』はこちら。