Google ChromeのサイドパネルにGeminiが統合され、作業中にわざわざ別タブでAIを開かなくても、ブラウジングをしながら調べ物や翻訳ができるようになりました。しかし、毎回「このページを3行で要約して」「難しい専門用語を解説して」と同じような長文プロンプトを手入力するのは、いかにも面倒です。
そこで、Gemini in Chromeに搭載されたプロンプトのショートカット保存機能「Skills(スキル)」を実際に使い倒してみました。私が学習や日常の技術ドキュメント収集で活用している設定手順と、具体的なプロンプトの登録例をご紹介します。
1. 「Skills in Chrome」とは
Skillsは、Gemini in Chrome(サイドパネルの「Geminiに相談」)において、繰り返し使う指示(プロンプト)をショートカットとして保存・再利用できる機能です。
例えば、「このページを3行で要約して」「このコードのバグを指摘して」といった指示文は、ブラウザでの調べ物や開発作業の中で何度も使用する傾向があります。これらを毎回入力するのは手間ですし、微妙な表現の違いでAIの出力が変わることもあります。Skillsに決まったフォーマットでプロンプトを登録しておけば、キーボード操作やマウスクリックだけでその指示を実行させることができます。
2. Skillsの登録と管理の手順
スキルの作成や呼び出しは、基本操作を一度覚えてしまえば難しいことはありません。登録と管理の手順は以下の通りです。
スキルの登録方法
新しくスキルを追加するには、主に2つの方法があります。
- 手動で新規作成する
サイドパネルの「Geminiに相談」の入力欄で、半角スラッシュ「/」を入力します。ポップアップされるメニューから「+ スキルを追加(Add Skill)」をクリックし、任意のスキル名とプロンプト、お好みのアイコンを設定して保存します。 - 会話の履歴から登録する
Geminiとやり取りした通常のチャット履歴の中で、今後も再利用したいメッセージがある場合、送信したプロンプトの横に表示される「稲妻アイコン(スキルとして保存)」をクリックします。これにより、入力した内容がそのままスキルとして登録されます。
スキルの管理と編集・削除
一度登録したスキルは、サイドパネルに「/」を入力して表示されるメニューから「スキルを管理(Manage Skills)」を選択することで、いつでも編集や削除が可能です。また、アドレスバーに直接 chrome://skills/browse と入力することでも管理画面を表示することができます。
なお、登録したスキルはGoogleアカウントに紐付けられているため、同じアカウントでログインしていれば他のPC(Windows、Mac、ChromeOSなど)でも自動的に同期され、同じように使用できます。
私が実際に手元に登録している超時短プロンプト構成
サイドパネル上で「/」を叩いてすぐに呼び出せるように、実際に私がChromeに登録して日常的に愛用している設定です。
① 短縮要約コマンド(名前: `/summary`)
【プロンプト】
現在表示しているWebページの主旨を正確に読み取り、中学生でも直感的に理解できる易しい言葉を使って、重要な要点を箇条書きで3点に要約してください。
② 技術用語の深掘りコマンド(名前: `/term`)
【プロンプト】
指定されたIT用語や専門技術について、以下の形式で出力してください。
1. 一言でいうとどのような技術か(日常の比喩を交えて)
2. 主なメリットとデメリット(またはトレードオフ)
3. 関連する代表的な競合技術
この2つのショートカットを持っておくだけで、調べ物の際にテキストをコピペしてスラッシュを叩き、Enterを押すだけで知りたい情報が一瞬で得られるため、別タブにAIを開く手間に比べてブラウジングの集中力が一切途切れません。
3. 登録しておくと便利な「Skills」の活用例
ここでは、日々の作業や資格試験の学習などで実用性の高いスキルの登録例を紹介します。ご自身の用途に合わせてプロンプトをカスタマイズして登録してみてください。
活用例①:IPA(情報処理推進機構)の過去問解説と解答作成
ITパスポートや基本情報技術者、応用情報技術者などの試験勉強に有効なスキルです。問題文や選択肢があるWebページ、またはテキストを対象にして実行することで、理解を深める解説を自動で作成します。
【スキル名】 IPA過去問解説
【プロンプト】
提示された(または現在表示している)IPAの過去問について、以下の形式で出力してください。
1. 正しい解答となる選択肢とその理由
2. 他の誤っている選択肢が、なぜ誤りなのか(どうなれば正しくなるか)の解説
3. 登場する重要な専門用語(IT用語)の簡潔な定義
初心者にも分かりやすく、丁寧な言葉遣いで解説を作成してください。
このスキルを登録しておくことで、過去問のテキストをコピーしてGeminiに渡し、スキルを呼び出すだけで詳細な解説シートを作成できます。解説書が手元にない時や、より噛み砕いた説明が欲しいときに重宝します。
活用例②:Webページの要約(3つの箇条書き)
ニュースサイトや長文の技術ブログなど、内容を短時間で把握したいときに役立つスキルです。
【スキル名】 3点要約
【プロンプト】
現在表示しているWebページ(または指定された文章)の主旨を読み取り、重要なポイントを3つの箇条書きに要約してください。また、どのような読者に役立つ記事であるかを1文で説明してください。
活用例③:英文記事の翻訳と専門用語の抽出
海外のIT情報や公式リファレンスを収集する際、自然な日本語に変換しつつ、わからない用語の解説を同時に作成するスキルです。
【スキル名】 英文技術翻訳
【プロンプト】
表示されている英語のテキストを読みやすく自然な日本語に翻訳してください。また、文中に登場する主要な技術用語や専門用語を最大3つ抽出し、それぞれの簡潔な説明を翻訳の下に添えてください。
4. 注意点と設定のヒント
現在、Gemini in Chromeおよび「Skills」機能は段階的に機能展開が行われています。もしお使いのChromeでサイドパネルにGeminiが表示されなかったり、スラッシュコマンドを入力してもスキルの項目が表示されない場合は、以下の設定を確認してみてください。
- 言語設定の確認
現時点の仕様では、ブラウザの優先言語設定が「英語(米国) - English (US)」になっている環境で先行して利用可能になるケースが多いようです。表示されない場合は、Chromeの設定から言語設定を一時的に変更してみるか、今後のアップデートを待つ必要があります。 - 試験機能の有効化(Flags)
試験的な機能として提供されている場合、アドレスバーにchrome://flags/と入力し、検索窓で「Skills」と検索して、該当する設定項目を「Enabled」に変更した上でブラウザを再起動することで有効化できる場合があります(※設定を変更する際は、自己責任で行ってください)。
私は普段、海外の最新ITリファレンスの要約や、IPA過去問で気になった用語の整理にこの「Skills」機能を毎日のように呼び出しています。自宅のPCで登録したプロンプトショートカットが、職場の環境でもChromeを立ち上げるだけで自動的に引き継がれているのは想像以上にシームレスで快適でした。
AIの活用は「いかに毎回同じ指示を書かずに日常の導線に組み込むか」という局面にシフトしていると感じます。お気に入りのプロンプトを数個登録しておくだけでブラウザの使い心地が変わりますので、もし利用できる環境であれば、試してみる価値は十分にありそうです。